舞踊評論家の乗越たかおが5名を本気で養成し、2名を海外フェスに派遣する「舞踊評論家[養成→派遣]プログラム」の第2期の募集が始まりました。
ふるってご応募をお待ちしています。
喜ばしいことに昨今では日本でも舞踊評論家のための様々なプログラムを見るようになりました。
しかし日本の舞踊評論家に絶対的に足りないのは、海外取材の経験です。黙っていても山ほどの来日公演があったバブルの頃とは違い、貧困化が続く現代日本において、国内で待っているだけでは限られた作品にしか触れることはできません(逆境の中で招聘公演を続けてくれている関係者の皆さんには心から感謝いたします)
そこで本プログラムではヨーロッパの最先端の才能が結集するエアロウェーブのスプリングフォワード・フェスティバル(Aerowaves’ Spring Forward Festival)の全面協力を得て、毎回2名を派遣いたします(派遣協力:EUジャパンフェスト日本委員会)。
本プログラムは、汎ヨーロッパの文化組織エアロウェーブと提携しています。Aerowavesは2024年現在、34カ国のパートナーがいます。
彼らが主催するスプリングフォワード・フェスティバルに2名の若い舞踊評論家を派遣し、
を通して、将来的に世界で活躍できる舞踊評論家を育てます。
とはいえ本来このフェスティバルは、ヨーロッパのダンス関係者のためのもの。本来は本プログラムのような、
「アジアの、評論家のためのプロジェクト」
に協力する筋合いはありません。
しかし現在共同ディレクターを務めているロベルト・カサロットとエリザベッタ・ビサーロの両名は、本プログラムのメンターである乗越たかおと古い友人であり、プログラムの主旨も深く理解してくれ、協力の実現にいたりました。
以下の費用は、すべて本プログラムとスプリングフォワードが負担します。
派遣される方は、基本的に個人的な経済的負担はほとんどなく取材を終えることが可能です。
〈以下の経費が提供されます〉
じつはスプリングフォワードは、独自のダンスライター養成プログラム「スプリングバック・アカデミー」を2015年からスタートさせています。
https://springbackmagazine.com/springback-academy/
これは約10人の若いダンスライターをヨーロッパ中から集め、プロフェッショナルなメンターをつけて指導するプログラムです。
こうした取り組みもあって、本プログラムにも理解が深かったのかもしれません。
基本英語での授業ですが、将来的には直接連携できる関係を作っていければと思っています。
スプリングフォワード・フェスティバルは、持ち回りのため、開催地が毎回違います。
次回2025年は、かつてハプスブルク家が統治していた古都ゴリツィアで開催されます。スロベニアとの国境にあり、スロベニア側のノヴァ・ゴリツィアとは双子都市にあたります。
https://www.comune.gorizia.it
ゴリツィアは、2025年度の欧州文化首都にも指定され、さらに文化的な盛り上がりが期待されています。
https://culture.ec.europa.eu/policies/culture-in-cities-and-regions/european-capitals-of-culture
スプリングフォワードは、大体周辺の街にも移動して開催されるので、歴史ある街を見ることができるでしょう。
暫定日程:
2025年4月23日~26日(移動日に前後それぞれ2日程度かかります)
公募で選ばれた5名は、乗越たかおが考案した舞踊評論家としての高度で専門的なプログラムを受けていただきます。
これは「文章教室」ではなく、相応の筆力を持った者が、さらに「次」へいくための武器を身につける場所です。
初回以外はZoom講義なので、日本全国どこからでも、ふるってご応募ください(第1期生は海外からの参加もありました)
そして第一期同様、第1回目は全員参加でGAGAのクラスを受けていただきます。
「評論は書くだけじゃない。自ら動き、身体について知るところから始まる」という乗越の評論観に基づいています。
第一期生は、一人一人の個性に応じ、ある者は新たな武器を手にし、ある者は自らの中に新しい魅力を発見するなど、その才能を十分に開花させました。
ただ今回、当初謳っていた「プロフェッショナルな舞踊評論家」像を少し改めることにしました。
目指すべきクオリティは変わりません。
しかしこれからの日本における舞踊評論家は、経済的な事情も含めて、別に本業を持ちながら評論活動を続けていく姿が現実的なものになっていくでしょう。
それでも「余技」ではなく、高い精度で書く人はおり、なにより「書き続けられる環境」が最も大切になってくることは間違いありません。
1期生の中にも、ダンスを見始めて日は浅いが魅力的な舞踊評論を書く人がいました。
また本業がダンスと関係ない業界であることから、最初「自分はここにいていいのか」と疎外感を感じていたという人もいました。
これはあまりにも「プロフェッショナルさ」を強調しすぎた結果だと反省しています。
なので第二期は「ダンスへの強い愛情を持ち、学び続け、書き続ける人」を求めます。
乗越たかおが約40年間、世界を飛び回って得てきた知見、良い経験や失敗談も含めて「次」の世代に伝えていきます。
ダンスという非言語芸術を言語化することは、自分の無意識を明確化し、他人に伝わる形に変換することです。
観劇した人はもちろん、見ていない人、そして100年後の人類にダンスの感動を届けることです。
みなさんの挑戦をお待ちしております。
「18才以上。ダンスを学び続け、書き続け、乗越たかおの講義を受ける意欲がある者」
第一次:課題評論(Word書類。メールのみ)
第二次:Zoomによる面接。
https://ndt2024jp.dancebase.yokohama
群馬 2024年6月30日
神奈川 2024年7月5日 / 6日
愛知 2024年7月12日
〈参考資料〉
※第1回だけはGAGA受講を含むため全員対面参加必須。遠距離者への交通費支給あり。会場DaBY。
※やむを得ぬ事情により日程変更の場合は事前に連絡いたします。
作家・ヤサぐれ舞踊評論家。株式会社JAPAN DANCE PLUG代表。
06年にNYジャパン・ソサエティの招聘で滞米研究。07年イタリア『ジャポネ・ダンツァ』の日本側ディレクター。19年スペインMASDANZA公式審査員。
現在は国内外の劇場・財団・フェスティバルのアドバイザー、審査員、講座など活躍の場は広い。エルスール財団新人賞選考委員。オンライン・ダンス私塾塾長
〈主著書〉
主 催 | 【舞踊評論家[養成→派遣]プログラム】実行委員会 |
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共 催 | 株式会社ジャパン・ダンス・プラグ |
助 成 | EU・ジャパンフェスト日本委員会 |
協 力 | Aerowaves’ Spring Forward Festival |